FORE_UL 洗濯紐

¥1,500 

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  • 杭など不要
  • 扱いやすい強アルミニウム製のパーツ
  • 頑丈なナイロン製の紐
  • 長さ3.5m
  • 暗所でのリフレクター素材
  • 手のひらサイズの収納袋付き

Designed in Japan. Made in China.

FORE_UL洗濯紐/CLOTHES LINE

「KAIMENのプランニングラボから – FORE_UL洗濯紐/CLOTHES LINEについて」


原稿用紙7枚分の文章=読了に5分程度




  • リュックサック1つの海外出張で一番役に立ったプロダクト
  • 気に入らないディテール多数の元ネタ洗濯紐
  • 金具を1から作ってみる
  • デザインに苦労した金具形状
  • 金具を改善したからビーズを増やせた+紐へのこだわり



リュックサック1つの海外出張で一番役に立ったプロダクト


長﨑:これはUL洗濯紐っていうプロダクトなんですが、僕の過去3年間20回位あった海外出張経験の中で、一番役に立ったプロダクトを是非!もっと改善して作りたい!…っていう、とても個人的な思いから始まったモノです。きっかけはSEA TO SUMMITっていう海外アウトドア用品メーカーの商品。重箱の隅をつつくような気の利いたプロダクトを作ってるメーカーで。で、そこが出してる洗濯紐のイマイチやな…っていうところを自分たちなりに再解釈して、アップデートしたモノになります。僕はたまに、機内持ち込み可能なリュックサックひとつだけで、10日ぐらいは平気で海外出張をするので、持ち運ぶ衣類を減らす目的で、2、3日に1回は洗濯が必要になってくる。フィルム状の洗剤を携帯してて、シャワールームや洗面台で、自分のシャワーがてら一緒に洗ったりするんだけど…ちゃんと干せる場所が全然ない。しかも、海外出張だったとしても僕はAirBnbをよく使う。ホテル宿泊だと、干す場所を見つけるのは簡単な場合があるけれど、AirBnbだと難しいパターンが多い。だから、初めて滞在する他人の部屋だとしても、なんとか物干しエリアを作りたい。そうやってずーっと悩んでる時に、SEA TO SUMMITの洗濯紐に出会って大変お世話になりました


気に入らないディテール多数の元ネタ洗濯紐


長﨑:…ただ気に入らないところは、いーーっぱいあって。 例えば、紐の片方の端っこは、紐全体にテンションかけてピンと張る構造になってるんだけど、もう片方の端っこの構造がわけわかんない!とにかく緩む。使い方間違えてるのかな?と思って、どれだけ考えたり調べても、やっぱりわからない。

森井・長﨑:

長﨑: 収納袋と謎につながる仕組みになってるし、余分な紐多いし、ここのプラスチックのパーツも、ユーザーにテンションをかけさせたいのか、かけさせたくないのか全く読み取れない構造になってるし…もう…大っ嫌い。笑 たくさん引っ掛て重くなると、そのよくわかんないぐちゃぐちゃしてるところが、ズリッ!とずれちゃって、引っ掛けてるもの全部落ちちゃうみたいなことが何度もあって。プロダクトデザイナーとして悔しいから頑張って何らかの意味を読み取ろうと頑張ったけど、無理でした。笑 …なんだけど、他に良い商品もないから仕方なくずっと使うしかなくて。なんで紐にテンションかけるパーツをシンプルに両側につけないんだ?洗濯物を留めるビーズの数も足りてないし。…もう我慢できない!じゃあもう自分たちで作ったる!という経緯。


金具を1から作ってみる


森井: 最初はこんな金具打ち抜く型とか作れんのかなぁ?みたいなところから始まって、日本国内でやるものづくりの感覚だと、プレス型って、まぁ射出成形みたいな大きな投資ってわけじゃないけど、でも高価だしなぁ…。と思って大陸のパートナーに聞いてみると…

長﨑:めちゃ安い。笑 できるやん!じゃあ、金具すら自分たちで起こそう!ってなった。この金具は、アウトドア用品の世界だといわゆる自在金具っていう、ロープにテンションをかけてテントやタープをびっちり張る時に使われるプロダクト。その自在金具を僕らの洗濯紐に合うように、ちっちゃく、でも頑丈に作っちゃおう。っていう流れ。

森井:中国で流通している在りモノを買ってきて、最初に何回か試してみたけど、やっぱり在りモノは金具サイズが大きくて、持ち運ぶにはどうしうようもなくって。って話してた時に、プレス型を結構現実的なコストで起こせるっていう事が分かって、そこからは、じゃあやろうぜ。っていう形でスタートしたんだよね。

長﨑: 在りモノはでかいし、ださいし。笑

森井: そう。しかも色がね、アルマイト塗装されてしまってるから、赤だ、ブルーだとかすごい色がついてて。

長﨑: 80年代の自転車パーツみたいな!

森井: いやーこれはないやろっていう、レベルのやつばっかりだったから、自分たちで作れて良かったね。


デザインに苦労した金具形状


長﨑:自分たちで作る上で、最も大事な部品の金具は、アシスタントの昌元さんが結構追い込んでくれたところ。昌元さん、金具の形を追い込んでいく時に、苦労した点ってありますか?

昌元:苦労した点は、R形状の少ないシンプルな金具形状で、かつ2本分の紐を固定できるスリットを作るところです。元ネタプロダクトはスリットの幅が紐1本ぶんしかないんです。でも、それだと柱の間の距離が狭い場所でテンションをかけようとすると、根元の紐が2本重なるところに干渉してしまって金具が使えなくなっていました。長﨑さんからは、FOREの世界観に沿って、作り込みすぎず、かつテンションをしっかりかけられる形を見つけるように、と言われて。複雑な形状にすれば紐2本にテンションをかけることは簡単なのですが、パッと見でユーザーが「使いやすそう」と感じられるようなシンプルな形を守りつつ、紐2本にテンションをかける機能性との整合をとるのが難しかったです。3Dプリンタで何度も実寸サンプルを出力して、形状に何度も修正をかけました。

長﨑:うんうん。Rの強い線や、斜め線が増えすぎると見た目に複雑になるだけでなく、重たいものをぶら下げて強いテンションがかった時、そこからズリッと外れちゃうことが多い。かといって、90度の線だけで構成すると、今度はテンションかけて紐を張りたい時に、金具の出っ張りに紐が喰い込んでぜんぜん動かせなくなっちゃう。

昌元:そうそう!

長﨑:おそらく1 mm より小さいオーダーで線をコントロールしてたと思うので、細かい差を検証するためのプロトタイプは、たくさん作ってた。

昌元:そうですね。 「2」と刻印しているスリット幅は、コンマ何ミリの違いでこれがベストや!と決まってたんで、大変でした。

長﨑:光造形3Dプリンタで、出してはトライ、出してはトライで最終的にこの形でいけるんじゃね?という流れだったので、試作品の検証を回した数で言うと実は今回販売を始めるプロダクトの中で一番多い。

森井:かも。試作の回数でいうたら一番多いね。

長﨑:小さいけど、一番気が遣られている場所であると。その金具のおかげで、紐のテンションを両方気持ち良く強められるから、AirBnbのドアや部屋の取っ掛かりに、材を痛めない範囲でうまく引っ掛けられるようになった。僕はそこに洗濯物だけじゃなく、 LED照明 (FORE_電光源)、バックパック、食器、モバイルバッテリーも袋に入れて吊り下げたりして、ある意味「家具」みたいに使ってる。空間に便利な「線」が1本あるだけで、AirBnbの見ず知らずの部屋がいきなり自分の部屋になる、みたいな感覚。それってかなり嬉しい。



金具を改善したからビーズを増やせた+紐へのこだわり


長﨑:元ネタの SEA TO SUMMITは、洗濯物を留めるための固定ビーズの数が足りない。テンションをあまり強くかけられないから、それも当然かな、と思うけど。今回テンションを強くかけられないという問題は、自分たちで金具を0から設計して解決できたので、その分ビーズを増やした。24個ビーズがあるから、2個のビーズで1つの洗濯物、例えば靴下やハンカチを挟もうとすると、12枚挟めることになる。実際2泊分ぐらいの洗濯物はかけられると思う。

Jaakko:1つ補足していい?

長﨑:おっけー。

Jaakko:1ペアの靴下だったら、ビーズ3つだけで洗濯紐に干せるよ。靴下だけじゃなくて、連続して洗濯物とビーズを繰り返し並べたら、もっと多くの洗濯物が干せる。

森井:なるほどねー。

昌元:この紐もこだわってましたよね。最初のプロトタイプは真っ黒でしたっけ?リフレクトライン入ってませんでしたよね。

森井:どうだっけ。

昌元:忘れたんですか。笑

長﨑:最初は真っ黒で目指してたけど、このリフレクトラインが入ってるパターンを見て、見た目にだいぶん軽やかになるなーと気づいた。

森井:反射のやつ。

長﨑:光を反射する糸が編み込まれてるので、夜のテントサイトや暗い室内で使ったとしても、ヘッドライトで照らせばちゃんとキラキラ光る。夜歩いてると、いきなり「ぐえっ」って首引っ掛けないようになる。SEA TO SUMMITのアイデアをベースにはしているんだけど、それをある意味アップデートして自分たちの提案として出せているのは結構嬉しいなと思います。